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Japanische Klassiker mit Furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

伯爵未亡人

も知らなかったであろう。

しかも、彼女は金に餓え、私は金に囲繞せられていたが、その時資本金八千六百万ペセタ、バルセローナ銀行頭取の欲しかったものは、金でもなければ名誉でもない。人と自由に恋を語り、街路をスタスタと歩いて帰って行くことのできる、フロールのように人並の脚を持つことただそのことだけであった。

伯爵未亡人

その私の長年の夢叶うて、初めた得たものが妻のドローレスであった。生れて四十三年……初めて持ち得た女の友達であり、妻と名のつく女であり、しかも二十六歳の匂やかな若さを、その伸びやかな均斉の取れ弾力ある肢体一杯に発散させた、嬋娟水を滴らんばかりの美女であった。いかに私が狂喜して、青年のごとき熱情を捧げて妻の膝下に跪き、不具者の飽くなき執拗さをもって妻を愛撫したかは、おそらくこの手記を読む人々の思い半ばに過ぐるものがあったであろう。

しかも私が夢中になればなるほど、妻はいよいよ眉を顰めて私を嫌悪し、近頃ではほとんど近寄り難きまでの冷厳さを示していた。まったく氷に包まれたような艶やかさであった。しかもその氷柱の美女の艶やかさが、私にとっては一層蠱惑となり、弥が上にも情慾を掻き募らせて、いかに私が狂おしきばかりの恋情に身を灼き爛らせていたことか!