Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
恐喝者
表面はどこまでも自分を下に置いた、円滑な言葉を用いながらも、一皮剥けば烈しい憤りを籠めた皮肉な措辞を列ねて、最後まで私と折り合おうとはしてくれなかったのであった。そこには私をして、永久に自分のこの失策で妻に頭の上らぬように、近寄ることもできぬくらいの障壁が設けられ、その障壁の向うに、妻は自己の立場を優越に保持しようとしているのであった。
しかも、長年社交で練り上げた妻の方が、比較にもならぬほど役者は段違いであった。赤面しながら訥々として口籠っている私なぞには、到底歯の立とうはずもないことであった。初めの勢いはどこへやら、私は這々の態で妻の部屋から出て来たが、まったく虎のを遁れたというか、腕白小僧が母親の許から逃げ出して来たというか、吻っとした気持の中で、さて明日の朝から、またもや妻の前に頭も上らぬ自分の惨めさを考えると、また新たなる赤面でかっと身体をほてらせてきたのであった。
恐喝者
さすがにこの大きな失敗は私にもつくづくと、自分が一家のうちに占めている位置というものと年齢とを考えさせて、二度と再び深夜に妻の寝室を窮うぶざまさだけは、慎ませていたが、さえそれから一、二週間も過ぎた時分であったろうか。