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Japanische Klassiker mit Furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

犬商フリオ・ベナビデス

鷹揚に頷きながら、フムフムと私は耳を傾けていたが、心の中ではもう一度改めて、ソレル男爵夫人とモリナーレ夫人とに手を合わせて伏し拝みたいような気持がした。

犬商フリオ・ベナビデス

「あの高慢なソレルの夫人の鼻を明かして上げるだけでも、胸がどんなにスッとするかと思いますのよ。ですからモリナーレの夫人ともお約束しましたの。もし犬屋で売ってくれましたら、二人で同じものを手に入れて品評会へ出して、ソレルの夫人を吃驚させてやりましょうって……」と妻はショコラの茶碗を措いて、細巻きの煙草に火を点けた。

「なんだ、それではお前はソレルの夫人に逢ったというわけではないのだね。モリナーレの夫人に逢ったわけなんだね。私はまた、お前が電話でソレルの夫人、ソレルの夫人というものだから……」

「どちらだってそんなことなんか大した問題じゃないじゃありませんか。私は犬が欲しいんですもの、犬さえ手に入れば文句ないじゃありませんか」と妻は苛立たしそうに、たちまち持ち前の癇を眉の間に現して、胸許をあおっていた扇子の細かい象牙骨をシャリシャリと鳴らした。これでまだ私が感ぜずに同じようなことを繰り返していようものなら、その次にはたちまち蔑み笑いを口許に泛べて踵で床をコツコツとやる番であった。