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Japanische Klassiker mit Furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

最早とっぷりと暮れ果てて真っ暗な庭の木立を窓の向うに透しながら、灯を点けることも忘れ窓掛を引くことも忘れて、凝乎と私は椅子に凭れていたが、「旦那様、お食事のお仕度が整いましてございます」とユアンのはいって来た時、

「奥さんは?」と訊ねてみた。

「ちょっと……お出掛けになっていられますが」とユアンは当惑そうに口籠った。そして逃げるようにして部屋を出て行こうとするのを呼び留めて、

「ガルボの姿が見えないようだが、どうかしたのかね?」と何気ない態に聞いてみた。

「一昨々日あたりから、ちょっと宿下りをいたしておりますが」という返事であった。

「どうして……?」

「……どうしてでございますか……私も詳しくは存じませんのですが」とユアンは一層困ったように口籠った。「……何か悲哀に噛まれましたような話でございましたから、それで宿下りをいたしましたのではございませんでしょうか?」

「……そうか」

「……お食事のお支度ができておりますから」

「よろしい……スグ行く!」

これでユアンは、逃げるようにして部屋を出て行ったのであったが、妻に話してその注意を促したものかどうか……まだ何とも私には決定が付きかねたのであった。