Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
一晩二晩は我慢したが、三晩目には最早、妻と三部屋を隔てた二階の自分の寝室へ、眠りに行くことはできなくなった。私は到頭自分の書斎の長椅子の上で、その翌晩とまたその翌晩とを明したが、しかも階下に眠っていたからとて、やはりどこからか悲哀の啼き声が聞こえてきはせぬかと、絶えず階上の物音にばかり聞き耳を立てているのが、私には堪えられぬ苦痛になってきた。五日目六日目には、家庭のこんな秘事をモネス探偵に頼んだのを私は、後悔したくなってきた。探偵に頼みさえしなければ、尠なくとも私自身が妻を裏切っているような心の呵責からだけは、免れることができるからであった。しかし男がいったん頼んだことを、今更取り消すことのできるものでもなく、ただ今日の日が早く暮れて明日の日も早く暮れて、探偵の約束した日が、一日も早くきて妻の潔白が証明されたならばどんなに嬉しかろうと、私は自分の心に平和の戻ってくるのは、一にその日一つに繋っているような気持で、日々を送っていたのであった。
以前は妻の方で、私に顔を合わせるのを厭うていたのであった。が、今では私の方が、それを恐れてきたのであった。