Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
そしてユアンの右腕が挙がった。此奴め! 拳銃を突きつける気だな! と私は直感したのであった。
薄暮とはいいながら、主人の邸の中で主人を脅迫しようとするユアンの大胆さに舌を捲きながら、私はユアンの顔を睨み付けていたが、ユアンは別段拳銃を取り出すのではなかった。不思議にも自分の左頬を私の方へ向けて、右手でその顳を示しているのであった。ユアンの左の顳※(「需+頁」、第3水準1-94-6)には、一センチモ銀貨大の赤痣があった。その赤痣を指ざしているのであった。
「私はユアンではありません」
「何を言う! お前がユアンでなかったら、誰がユアンなのだ?」
「ほんとうのユアンは、一週間ほど前からヴァレンシアの母親のところへまいっています」そしてユアンはにっと口許に笑みを泛べて、顳の痣を剥して見せた。
「呀っ!」と私が眼を瞠った途端、ユアンはさらに左の頬の揉み上げをむしり取って見せた。耳の下まで長々と生え下っている揉み上げの代りにそこには滑々した青年らしい美しい皮膚が現れ出た。
「私が誰だか、おわかりになりませんか?」
「あっ」と今度こそ、すんでのことに声を挙げるところであった。