Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
「ハ……そうです」
「マジャルドー氏のこういうことは、別段珍しいことではありませんな?」
「そうです、よく御存知です」探偵の言うとおり、マジャルドーのこういうことは少しも珍しいことではないのであった。それなればこそドローレスは酷くこれを嫌っていたのであったが……。
「珍しいことではありませんが……しかしマジャルドー氏の伺うのは、いつも夜分のことで銀行の勤務時間中にはあまり伺いませんでしょう?」
「そ……うです。何の用があったのだろうと、それでまことに不思議に思っていたのですが」
「ですからその三度伺ったマジャルドー氏というのは私だったのです」と莞爾ともせずに探偵は言った。
「呀っ!」とばかりに私は開いた口が塞がらなかった。この四十男の肥満した探偵があの瘠せてコツコツした六十幾つのマジャルドーに扮装していたろうとは! 私にとってはユアンに化けたロザリオ青年の場合にも劣らぬ驚きであった。しばらくは呆気に奪られたまま言葉もなくただまじまじと探偵の顔を打ち見守っているばかりであった。似たも似ぬも言うだけ愚かであった! 銀行で毎日顔を合わせている私自身が、今の今までてっきりマジャルドーとばかり思い込んでいたことであった。