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Japanische Klassiker mit Furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

「ではどうぞ……報酬を……そう言っていただきたいと思いますが」

蹌踉めきながら起ち上って、そして眼をつぶって差し出した私の手を探偵もしっかりと握ってくれた。

「重々お察しいたします……お察しはいたしますが、しかし御身分柄……どうぞ穏やかに御解決になりますよう、衷心からお祈りいたしております」

そして私はこの探偵事務所の請求するままに、報酬や立替金の清算を小切手で支払って、気の毒そうな探偵とロザリオ青年に見送られて、やがて蹌踉めく足に階段を踏み締めたのであったが、ただ耳鳴りがして頭がかっかとして何を思考する力とてもなかった。

ただどこかへ行って誰かに縋り付いて、こうまでも呪われ切った自分の身体を泣いて泣いて子供のようにおいおい声を挙げて泣き尽したならば、さぞかし胸がスウッとするだろうという気がした。しかも同時にその半面今日まではあらゆる屈辱を怺えてきたが、もうその我慢の糸も尽き果てて妻が憎くて憎くて仕方がなかった。襟髪取って引き倒して縦横無尽に身体を踏ん付けてくれたならば、少しは胸が癒えるだろうと思われた。口惜しいのか憎いのか腹が立つのか情けないのか、それらの感情が一時に胸に込み上げてきて、眼も眩まんばかりのムシャクシャした気持であった。