Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

行員たちは再三マジャルドーに歎願していたが、律儀一途のマジャルドーは頑として頭を縦に振らなかった。ついに頭取の許可さえあればというところまで運んで、この書類は私のところへ廻されてきたのであったが、私は万事をマジャルドー任せにしているために、この書類だけを決裁してしまうというわけにもならず、書類はこのところ二十日間ばかりを朝晩秘書の手によって書類凾から未決の籠へ、未決の籠からまた書類凾へと、出し入れが繰り返されていたのであった。

それを私は今一瀉千里の勢いで署名してしまったのであった。それがこの若い秘書には嬉しかったのであろう。

「私が賛成をしたと、行って支配人にそう言いたまえ! 君たちは若くて……健康なのだ。その若い健康なうちに人生を楽しみたまえ!」ついぞ一度も私からかけられたことのない砕けた言葉を受け取って、

「ハイ」と秘書は困ったようにモジモジしていたが、それっきりまた私が頬杖を突いているのを見ると吻としたように、書類を抱えて出て行ってしまったのであった。

その後ろ姿を凝乎と見送っていたが、跫音が廊下の向うへ消え去ったのを見澄まして、大急ぎで私は机の右袂の一番下の抽斗の鍵を開けた。