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Japanische Klassiker mit Furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

そして私が茫然している間に、またどのくらいかの時が過ぎ去ったのであろう。突然部屋の静寂は破られた。真っ暗闇の扉の把手をガチャガチャと廻すと同時に、パッと飛鳥のように躍り込んで来た黒影がある。躍り込むと同時に、

「誰だ! 動くと撃つぞ!」

パッとスイッチをひねって灯りが点けられた。頬杖を突いていた顔を挙げた途端、タイム・レコーダーを肩から吊った屈強な守衛が、拳銃を差し向けながら当惑顔に突っ立っているのが映ったのであった。

「どうもつい……存じませんでしたもので……頭取がおいでになるとは、つい存じませんでしたので……」

「巡視かね?」

「ハイ……」

今私がこのとおりの恰好をしようと思っている矢先へ、先を越されて私は苦笑を禁じ合えなかった。

まだ私の待っている時間までには間があった。今出て行ったのでは、少々早すぎるのであったが、これではどうにも仕方がない。私は渋々身を起し始めた。

「……さあ……では、そろそろ帰るとしようかね?」

「お車をお呼びいたしますでございますか?」

「なあに……それには及ばん……」

「ついどうも存じませんで……頭取がおいでとは夢にも存じませんでしたので……庶務の方から何の知らせもなかったものですから……つい存じませんで……あ、表玄関の方はもう閉まっておりますから唯今お開けいたしますから」