Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

「そういかんのだ。家内が是非今夜中に話して来てもらいたいと家で待ってるんでね。……手間は取らせぬからちょっと話したいのだが」

「どんな御用でしょうかな? ここで仰ることはできませんかい?」

「手間は決して取らせんと言っているのだ……表で話すというわけにもならんのだが」

「そうですかい……じゃ仕方がない……お名前は何とか仰いましたな?」

「アベニイダ・フロリダ街のロドリゲス・アレサンドロ……いつぞや犬を買ったことがある……帳面を見てくれればわかるはずだが……」

「そうですかい……ちょっと待ってて下さい……」

そして中ではやはり私の言葉を帳面で照らし合わせているのであろう。やっと怪しいものではないという見窮めが付いたものか、恐ろしく暇のかかった末、今度は小窓が開かずにガチャガチャと鍵を廻して表戸が開いたのであった。

「フリオ・ベナビデスさんはいるかね?」

「フリオは私ですがね……一体何の御用ですかい?」

ベナビデスはまたいつぞやのように破れ卓子を前にした向う側に突っ立っていた。天井から垂れた薄暗い電灯の影を受けて、両側に積み上げられた陋くるしい獣の檻……湿め湿めとした細長い土間……高い光も届かぬ天井……そして戸を閉め切った室内に殊に籠った獣特有の饐えた臭い……まったくこの間どおりの陰惨さであった。