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Japanische Klassiker mit Furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

しかも表戸を降ろした室内に、まだ起きて帳面でも記けていたのであろうか? 妙に皺の多い瘠せた顔の奥から、金壺眼を眼鏡越しに光らせている姿……鉤裂きだらけの上衣を着けて、ジロジロと穴のあくほど人の顔を眺め廻している貧相な小男の四十男! 正しくフリオ・ベナビデスその者に間違いはないのであった。

「犬でも御入用だと仰るのでしょうかな?」

「私の顔に見覚えがあるかね?」

「いつぞや奥様も御一緒にいらした……ルロイ・ソレルの夫人からの御紹介だとか仰った……」

「そうだ! 覚えていたね。……実はあの時、君のところから買った犬のことで、少し話があって来たんだがね」

「あの犬がどうかしましたかい?」

「そう……あの犬のことで、君にくれぐれも礼を言ってもらいたいと家内が言ってるのだ」

「…………」

「手を挙げたまえ! ベナビデス君」

その眼の前へいきなり私は拳銃を突き付けてくれた。

「お、呀っ!」

「卓子の側を離れたまえ! 愚図愚図していると弾が飛ぶかも知れぬよ!」

両手を差し挙げたままベナビデスは、不承不承に卓子の傍を離れた。これでもう隙を見て卓子を私の方へ蹴倒すこともできなければ、卓子の下から兇器を取りだすことも不可能になったのであった。