Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
私はもう一度照準を付け直した。
「……貴……貴方……ベ……ベナビデスの一生のお願いです、どうか許して下さい……わ……私が悪かったから……い……一生の御恩に着ます……仰ることは……な、何でもしますから」
途端にもし私が身をねじらなかったならば、私は風を切って飛んで来たその重い物体を真正面に身に受けて向うより先にこちらが仰け反らなければならなかったであろう。ベナビデスが素早く猿臂を伸ばして、背後の机の顕微鏡を取って投げ付けたのであった。顕微鏡はくるくると舞って後方の空檻にドカーンと烈しい音をたてた。
「ベナビデス君、手を挙げていたまえ、手を……君は油断のならぬ人だね……誠意というもののサッパリない人だ!」
「ああ、もうどうしたらいいんだろう!」とベナビデスが身悶えして泣き叫んだ。「気が違いそうです! 貴……貴方お願いですから助けて下さいと言うに……何でもするから助けて下さいと言うに」
「狙いを付けられていると苦しいかね?」
「気が違いそうだ……後……後生一生のお願いです、どんなことでもしますから……た……助けて……」
「そしてまた顕微鏡を投げるのかね?」と狙いを付けたまま私は声に出して笑った。