Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
父様自身としてはそれでいい。少なくともこのハラハラしている神経質な臆病そうな、自分の所信さえも断行できないような意気地のない――そのくせ父様の背後に佇んで眼ばかり光らせながら、まるで私の夫か何かのように思い上っているアランの態度に較べれば、どのくらい男らしく胸がスッとするか知れない。たかが上衣を脱いで踊ってみせるくらい、そんなにハラハラするのならば、この卑屈な意気地のない男に鼻を明かせてやる上にも、私は父様のお頼みを容れようと考えたのであった。
「ではそれだけのことなのですね? それ以外には別にありませんのでしょう」
父様は頷かれる。アランの眼が光る。
「かまいませんわ……たったそれだけのことなら。その代り録音は決してその室ではしない、隣りの室でするということさえ約束して下されば、父様のおっしゃるとおりにしますわ」
と私はわざとアランのほうなぞは見向きもせずに言った。
「そんな乱暴なことが……できることかできないことか! エミーラ、考えてみたまえ! 君はきっと今に後悔する!」
「私後悔なんぞ決してしませんわ! 親の研究のためならば毒を飲む娘さえもあるんですもの、それくらいのことで済むのならば、別段何でもありませんわよ」