Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
掘り出し感に酔っていたであろうかは、最早ここにくだくだしく述べるにも当らないであろうと思われる。
まったく見ようによっては、悪魔の触手どころか! 笑いのない妻と私との冷やかな家庭の中へ、こういう笑いと賑やかさを醸してくれたのであったから、いわば天使の触手でも舞い込んで来たような観があったが、ともかく眺めれば眺めるほど、まったくこれは得体の知れぬ怪物というべきであった。胴が無暗に長くて四肢の極端に短い点では、ダックスフントそっくりであり、前肢の逞しさや毛色では英国産のマスチーフであり、やがて成長すれば三二吋の高さ体重一一〇封度にも達するのでは、まさに犬種中の最大種アイリッシ・ウルフ・ハウンドであった。まったく得体の知れぬ犬であったが、成育の後はいざ知らず、現在眺めているところでは仔犬のくせに妙に腰の廻りのみが発達して、そこにだけしゃ切り立ったような黄褐色の毛が簇り、全身はあまりにも短い滑らかな密毛に被われているために、さながら水に濡れた海豹か膃肭臍のようにヌラヌラした感があり、それが狒々のような顔をしてヨタヨタと老人臭いガニ股の歩みをしているに至っては、ただ滑稽そのものというべきであった。