Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
深夜
しかも今度は身を引いた自分に、また一層の憤怒が込み上げて、キョトンと不思議そうに見上げている犬の愚鈍そうな眼を見た途端、息も詰まらんばかりの憎しみと激怒とが私の脳天に衝き上げてきた。足を挙げてその脾腹と思うあたりを力一杯蹴上げてくれた。
「キャン、キャーン」と家中が震撼するような悲鳴を挙げて犬は飛び上った。飛び上ったところを、また左足を挙げて蹴上げてくれた。悪い足は中心を失って思わず蹌跟いて机の上に片手を突いたが、突いたその手で無我夢中に掴み上げた書物を、力一杯犬の胴体眼蒐けて投げ付けた。投げ付けた書物は反れて、明け放した扉に当ってドサーン! と凄まじい響きを立てた。続いて私は簿記棒を投げ付けた。グヮラグヮラガターン! と一層凄まじい音を立ててどこかに当ったらしい。犬はグウと唸った。そしてキャ、キャーン! ともう一声飛び上ると、この犬がどうしてこんなに敏捷くと思われるほどの速さで、一目散に扉の外へ飛び出した。何を掴んで投げたかを、もう私は記憶しない! 召使たちが駈け付けて来るのであろう。跫音が、あちらこちらから入り乱れて来た。
深夜
「キャアン! キャンキャン! キャアン! キャンキャン」