Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
彼は最初のうちは、徹太郎が運平老を冷やかしているのがばかに面白かった。むろん、彼自身も、蘭が断崖の高いところに生えているというふうには、少しも感じていなかったのである。しかし、運平老が恭一をほめ出してから、彼の気持は急に変った。そして自分の感じを率直に言うことが、何か自分のねうちを落し、運平老から離れて行く結果になりそうな気がしてならないのだった。
「いやに考えてるね。考えることなんかないだろう。お祖父さんの絵が駄目なら駄目と、思ったとおりに言うだけなんだから。」
徹太郎にそう言われると、次郎はいよいよまごついた。そして徹太郎と運平老との顔を何度も見くらべてから、やっと答えた。
「僕、わかんないなあ。」
答えてしまって彼はすぐ後悔した。誰の様子にもべつに変ったところはなく、ただほんの二三秒間沈默がつづいただけだったが、その沈默の間、これまでとはちがった、固い空気が、急にその場を支配したように彼は感じたのである。
「わかんないか。そいつぁ、次郎君、少しどうかしているぞ。……しかし、まあいいや。きょうは恭一君がお祖父さんの味方らしいから、名画が一枚出来たことにしておこう。