Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
「僕は乳母やよりも偉いんだろう。偉くない?」
「乳母やより? まあ、可笑しな坊ちゃん。乳母やどころですか、ほんとうはやっぱり恭さんよりも、お父さんよりもお偉いんですよ。誰よりもお偉いですよ。」
「ほんとうにそう思ってるんかい?」
「思ってますともさ。」
「でも、僕には、乳母やが嘘ついてるように思えるんだよ。」
「どうして? さっき、あたしがあんなこと言ったからですの?」
「うむ。……乳母やには、僕、ほんとうは意気地なしに見えるんだろう。」
「そんなことあるもんですか。あの時はちょっと言ってみただけなんですよ。坊ちゃんがあんまり負けてばかりいらっしゃるようだから。」
「負けるの、意気地なしなんだろう?」
「そ……そうね、そりゃあ、ほんとうに負けたら、意気地なしですともさ。」
「だから、僕、やっぱり意気地なしだろう。偉くなんかないんだろう。乳母やはそう思ってるんだろう。」
「まあ、坊ちゃん! 坊ちゃんは、どうしてそんなにひねくれてお考えになるの? 坊ちゃんらしくもない。」
「ひねくれているんじゃないよ。」
「だって――」
と、お浜は、もう泣き声だった。
「乳母や、……乳母や……」