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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

……弟だろう、母さんになる人の。……徹太郎っていうんだってさ。」

「母さんになる人、何ていう名?」

「お芳。大巻お芳だよ。……でも、正木のうちの人になったっていうから、正木お芳かなあ。」

「今度は本田お芳になるんか。……次郎ちゃんは変な気がしない。」

「ふふふ。」

次郎は笑った。彼は、しかし、はじめてお芳にあった時のことを思い出して、恭一が今どんな気持でいるかがわかるような気がした。

恭一の眼はいやに冴えていた。彼は、襖の向こうの梯子段が、かすかにきしむように思ったので、ちょっと耳をすましたが、それっきり、またしいんとなった。

「次郎ちゃんは、亡くなった母さんの名を知ってる?」

「知ってるとも、お民っていうんだろう。」

二人は真暗な中で、ぽつりとそう言って、また默りこんでしまった。

恭一は、梯子段がまたきしむように思った。彼は枕からちょっと頭をもたげて、その方に注意したが、べつに人の気配はしなかった。

「ねむたくないね。」

と、次郎が言った。

「うむ、まだ九時半ぐらいだろう。だけど、もうねむった方がいいよ。」

「僕、十時に眠ればいいや。もっと話そうよ。」

「うむ――」