Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
遥拝がすむと、おたがいの朝のあいさつをかわし、そのあと、もう一度静坐に入った。そして、それが三分もつづいたころ、朝倉先生は、自分も静坐瞑目のまま、おもむろにつぎのような話をした。
*
越前永平寺に奕堂という名高い和尚がいたが、ある朝、しずかに眼をとじて、鐘楼からきこえて来る鐘の音に耳をすましていた。和尚は、今朝の鐘の音には、いつもにない深いひびきがこもっているような気がしたのである。
やがて、最後のひびきが、澄みわたった空に消え入るのを待って、和尚は侍僧を呼んでたずねた。
「今朝の鐘をついたのはだれじゃな。」
「新参の小僧でございます。」
「そうか。ちょっと、たずねたいことがある。すぐ、ここに呼んでくれ。」
間もなく、侍僧に伴われて、一人のつつましやかな小僧がはいって来た。和尚は慈愛にみちた眼で、小僧を見ながらたずねた。
「ほう、お前か、今朝の鐘をついたのは。……で、どのような気持ちでついたのじゃな。」
「べつにこれと申す心得もございません。ただ定めに従いましてつきましただけで……」
と、小僧はあくまでもつつましくこたえた。
「いや、そうではあるまい。