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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「実は、ないこともないんですがね。」

「ないこともないぐらいな恋愛では、しようがない。」

大河は、そう言うとまたもとの黙然たる姿勢にかえり、それっきり口をききそうになかった。すると、湯ぶねの中で、二人の問答をおもしろそうにきいていたほかの塾生たちの一人が、ふざけた調子で言った。

「ぼくは、目下命がけの恋をやっている最中なんですがね。」

みんながどっと笑った。大河は、しかし、そのほうをふりむこうともしなかった。

朝倉先生は、その時、たたきで塾生の一人に背を流してもらっていたが、それが終ると、湯ぶねの中にはいって来て、言った。

「大河君、何かおもしろそうな問題らしいが、私では相手にならんかね。」

「ええ――」

と、大河はにっと笑って立ちあがり、湯ぶねのふちに腰をおろしながら、

「先生は、恋愛をやられたとしても、時代が古いでしょう。」

「古くては、問題にならんかね。」

「全く問題にならんこともありませんが――」

と大河は真顔になり、

「実は、ぼくは、世間できわめて重大だと考えている公けの問題、たとえば現在でいうと、国家の非常時というような問題に対して、恋愛というものが、その本人にとって、実際どのぐらいの比重をもつものか、正直なところをきいてみたかったんです。