Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
「しかし今から手紙出したって間に合わんでしょう。……ひょっと、日光丸に乗っとるとしたら、今日あたり入港しとる日ぐりだから。」
「そうかしら。」
親爺は、かなり久しく赤毛布の上でまどろんでいた。ぶ厚い、すず黒い、唇からは、だらしなげによだれが、だらだら毛布にたれた。これは、恍惚状態に入った時、いつも現われる現象だ。
「お休み! お休み! ゆっくりお休み!」俊は、その父を指さして、おきゃんな声を出した。
この時、一寸でもその、まどろみの邪魔をすると、父は、火がついたような狂暴性を発揮する。幹太郎も、母も黙って、大きな音さえ立てぬように努力した。
親爺の皮膚は、薄黒く、また黄色ッぽく、白血球は、薬のために抵抗力を失って、まるで棺桶に半脚突ッこんだ病人のように気息奄々としていた。
「お休み! お休み! ゆっくりお休み!」
やがて親爺は死ぬだろうと、幹太郎は思った。自分では、滅亡へと急ぎつゝあるのだ。
彼は、親爺が故郷を追われたことを思った。
親爺のような人間が、植民地へ来て、深みへ落ちてしまうのは、四人や五人ではきかないだろう。
いや、幾人あるかしれないだろう。