Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
見物の群集は、俥が進むに従って数を加えた。馬の糞やゴミでほこりっぽい、広い道にいっぱいになってあとにつづいた。
駅前の広場には、また別の、もっと/\数多い真黒な群集の山が待ちかまえて、うごめいていた。
そこには、刑場らしい、かまえも、竹矢来も、何もなかった。しかし、そこへ近づくと、土匪の表情は、さっと変ってこわばってしまった。唸くような、おがむような、低い、聞きとれない叫びが俥上からひびいた。足の鉄錠ががちゃがちゃ鳴った。
ただ、三番日の酔っぱらいだけは、全く正気を失っているものの如く、ぐにゃ/\の頭は、洋車の泥よけにコツコツぶつかっていた。
「あの酔っぱらいはどうなるかな。」と幹太郎は思った。「酔っぱらったまゝでぱっさりとやられゃ、本人は却ってらくでいゝかな。」
兵士は群集を追いのけた。俥夫は梶棒をおろした。
三番日の囚徒は、ふと、頭をあげた。よだれのように酒がだら/\流れ出る土色の唇が、ぴりぴりッと顫えて引きしまった。そして眼は、人の山を見た。死んだ魚の眼のようだ。
「やりやがれ! 怖かねえぞ! やりやがれ!」
彼はうつゝのようにむにゃ/\呟いた。