Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme

Aozora Bunko

正造はまた川原の方を見返しながら、

「源八さん、川床が非常に高くなったようだが……」

「そうさね、年々の洪水で高くなるばかりだ。この間、前庭の地面を掘ってみたら二三寸の厚さに何段にも層になっていた。洪水の度ごとにそれだけずつおいていったわけです。そんな工合だから川床の方は一度の洪水で五寸も一尺も高くなるにきまっている」

「ふん、ふん、それにちがいない。古河の奴、七千町歩という山林を濫伐しておきながら、またこの戦争のどさくさにまぎれて銅山の周囲の山々の盗伐をやっておるということだ。そのうえ銅山製煉所の煙害というものが近隣一帯の山林を枯らす。あの山辺へ登って見ると、数里の間は西も東も目に見える限りが禿山になっている。いかに悪事でも噂だけで人は責められんから、わしは人を調べにやった。実地を見てきたものの報告がその通りだ。煙の中に一種の灰が混っていて、この灰が触れると忽ち葉が枯れる。木ばかりではない、笹も草も苔まで枯れてしまった。それでは山の土石が崩れるにきまっている。山林が密生しておって、木の根が棕梠の皮のように絡んでいるからこそ、土砂岩石の崩れようとするものも固く支えているわけだが」