Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme

Aozora Bunko

「以前は作物がよく穫れたので桑など植えるのを土地の者は怪しんだくらいでしたが、近年は肥料をやる勢もなくなって田の方は自然おろそかになり、いくらかでも収入のある養蚕をやるようになりました。その桑畑さえ年に四五度は手入れせねばならず、桑に精がないから繭も油ののりが悪く、半分しかとれません」一人がそういって一村の農耕状態を説明すれば、また一人は「鉱毒だから肥料は無効だとわかっていましても、そこは百姓の悲しさで年々無理算段しては肥料を施します。私の村では、大半が家屋も土蔵も山林田畑もしだいに人手にわたって増えるのは借金ばかり。ことに昨年の大洪水以来は村の戸数が半分になって、森蔭に壁の崩れた家屋が残っているかと思えば、野中に井戸だけが、前に住居のあった面影をとどめているという有様です」と、村の疲弊を物語ってみせるのだった。

殊に激甚地である海老瀬村の松本英一は、縷々と村民の窮乏のさまを語って、

「私の村の杉本勝造という男などは、以前は田地の二町余りを持っておったものですが、食うものもない状態になったのを苦にして四年前から気が変になりまして、毎日々々なにも穫れねえ、なにも穫れねえといっては、近辺を歩きまわっております。