Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
この代が一石七八円平均ですから、ざっと四十五六円。それに利が加わって六十円余になったのです」
「ふーん」
「そういっては何ですけど、家計が年々逼迫する一方ですし、お父さんは何時どういうことになるかわからないし、あなたのお留守中にもしものことがあって、世間に恥を曝すようでは申訳ない。そう思って私は……」
さすがに万感が胸に迫ってきたのか、かつ子は歪んだ顔へ襦袢の袖をつまみ出してあてた。正造もまた、ポタポタと落ちる涙を拭おうとせず、ただ項垂れて言葉もなかった。黒袴のひとところがしみのように濡れてにじむのを、かすむ目で見つめていた。しばらくして、
「わしのような親不孝者はない。自分でもつくづくそう思う。母親の死に目にも会わず、また今度も父親の臨終に間に合わず……」
そういって、憮然とした顔つきで腕組みをした。十七年前、嘗て奥州江刺県の属吏をしていたとき、正造はたまたま同僚殺害のあらぬ嫌疑をうけて、明治四年から七年に至る足掛け四年の間を獄中に送ったことがあった。四年ぶりにようやく寃罪がはれて釈放されたが、その出獄より三十三日前、三月九日に母はすでに鬼籍に入っていた。