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Japanische Klassiker mit Furigana

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme

Aozora Bunko

正造たちが、古河まで来て事実をただすと、下都賀、猿島両郡が最もその弊に悩んでいるという。すでに夜も深更に及んでいたが、正造は一刻も猶予がならぬと、憑かれた人のような一轍をみせて、ただちに現地へ発足した。

正造はあるいは役場に出入して出頭状態を調べ、或は有志青年に村内の出願を督促させて、数日間をその方面の村々の巡回に費した。

その間にも、被害の実地を踏査し、極貧者の困窮を見聞して、正造は胸を痛めずにはいられなかった。殊に谷中の堤防に佇んでは、毎度のことながら一望の葦原に茫然とした。以前そのあたり一帯が田畑だったことをしのぶ手がかりといえば、立ち騒ぐ葦の底に残っている畦の跡や枯れ桑だけである。その葦は、屋根や簾の材料に売って窮民の糊口をつなぐ最後の糧となっていたのだが、しかもそれさえ今年は枯凋のきざしが見えている。きけば、七月初旬に七尺の増水があった結果だという。正造は村の有志に説いて、「葭芽の発生悪しく、窮民雨露を凌ぐ能わず」と、実情をそのまま訴えた被害検分願を出させることにした。また激甚地の字々では、水田の稲草が浮き上っていた。畷の緑には緑青のついているところさえあって眼をひいた。