Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
第二章
開け放った本堂の軒に黒い雲が垂れさがって動いていたが、にわかに沛然と降りだした。皆が黙然としばらくその雨音を聴いていたが、
「この間こういう格言を得た」と正造が言葉を継いだ。
「すべての知者といえども、百事に従事せばその目的を達すること稀なり。凡愚者といえども、専心一意たらばその目的を貫かざるはなかるべし……こういうのだ」
正造ははげしい雨音の中で、くり返しその格言を口ずさんだ。
第二章
九月三日に強雨が降りしきって、午後八時頃には早川田付近で早くも十五尺の増水を見た。この出水はさほどの大事に到らずにことすんだが、愁眉をひらく暇もなく、六日の夜からまた凄じい暴風雨となった。雨は七日に到ってもなお降りやまず、人々はただ恨めしそうに軒先をながめ暮した。この年は概して天候も順調で、渡良瀬川沿岸の耕作のできる土地では、昨年の二倍の収穫を予想していた。また不毛の一歩手前程度の土地でも多少の増収を予期していた。それが二日間の暴風雨に見舞われて、田も畑も、堤防の決潰と込み上げ水のために、すべて水浸しになってしまった。
正造は急遽上京して板垣内務大臣に面会し「渡良瀬川の出水によって、沿岸の稲作の収穫は皆無の模様だ。