Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
例えば正造が、去る三月八日の質問演説中に引用した舟津川の事情に類したものを、いくつも挙げることができる。久野村字下野田のごときは、戸数五十一の部落で、三十一年の出生五人に対して死亡二十二人、百分率は出生一・八八に対し死亡は八・六三になっていた。その他いずれの部落でも、二十七年頃にはまだ死亡より出生の方が遙かに多数であったのが、漸次死亡者を増加して数倍になっている。しかもそれらの死因を調べれば乳児の栄養不足や、死体分娩が意外に多い。更にこれらの生死にまつわる事情に至っては、ただ悲惨というほかに形容すべき言葉もない。
正造はこの調査書に目を曝して、胸の裡に鉛を注ぎこまれたような思いだった。いく度か被害地の空を瞼にうかべ、いく度か胸の底から嘆息した。
十二月六日、烏森の湖月にひらかれた憲政本党の代議士懇親会で歓交の座上演説に立ちながら、正造が膝もとの鉱毒被害地をなぜ調査しないのかと叫んで、一座の興をそぐことを敢てしたのも、そうした憂患からであった。
正造はもともと梨下に冠を正さずという潔癖さから、大臣官邸に出入するのを潔としなかったが、今やそれも意にかけてはいられぬという切迫した気持で、登院のかたわら連日のように、松方大蔵、樺山文部、西郷内務等の官邸の門を駈け歩いた。