Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
こうして控訴公判もおいおいと迫った九月三日、正造はまたしても原田たけ子宛に手紙を送った。
「其方ども他日に心を用いよ。方今正造の身は離間中傷の中心なり。見よ、大なるものは被害民と政府とに離間され、小なるものは定助等と正造の間にも充分離間の策行われ、其方どもはその術中に陥りたる憐れなる者なり。奸謀至らざるなき者の悪策苦肉は、決して其方どもの如き机上の上達者、無邪気の人々には毫も解せらるるものに非ず。尤もその甚だしきは其方どもの喜ぶ所のものは其方どもの肉も命をも奪うて畢るならん。正造なお数年壮健ならば間接に保護すべきも、最早事理遅く百事行届かず、且つ明日を期せず、正造最早用いるなき場合なり」
切々の情は、墨色にも運筆の跡にもにじんでいた。
九月二十日、東京控訴院でようやく公判が開廷された。その結果、被告側の申請が採用されて、鉱毒被害地の臨検をすることに決った。
裁判長磯谷幸次郎をはじめ陪席判事、検事の法官達、鑑定人として農科大学教授横井時敬、同長岡宗好、同豊永真理、立会弁護士三好退蔵、塩谷恒太郎、桜井熊太郎、今村力三郎、卜部喜太郎、高橋秀臣その他十六名、毎日新聞の大庭善治、万朝報の堺利彦など各社の新聞記者八名、総勢五十余名の一行が、十月六日に鉱毒被害地へむかった。