Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

「まさに、その通り」

「ふーん」

「忙しいんでね――」

「何やってんだ、一体――。別に学校を退めるほどの事情もなさそうだったが、働かなきゃならんほどの」

「犬――を飼ってるよ、それが仕事さ」

「へーえ」

「学校なんかよかグンと面白い――。それに今は時節柄、軍用犬の方の仕事もひどく忙しいんでね」

「おやおや、犬が好きだってことは聞いていたが……、すると犬屋か」

「左様――」

喜村は、又鼻の下を撫ぜて、大きく頷くと、何かを思い出したように、あわてて元のボックスに戻って、脱ぎのこしてあったオーバーを抱えて来た。

「おい見ろよ」

「え――」

喜村は、オーバーのポケットから小猫のような犬を抓み出した。ポケットテリヤだった。

「まあ可愛い、一寸抱かしてね……」

早速ハルミが抱いてしまって

「なんて名前――? ほしいわ」

「都合によっては、やらんこともない――」

「まあ、ほんと」

「ほんと、さ」

「おい、喜村。こういう手があるとは知らなかったね」

「はっははは」

「ねえ、なんて名前よ」

「名前か――、ムラタ」

「ムラタ? ――ムラタ、チンチン」

「くさらすない」

村田は、むっとしたように眼をむいた。

「はっははは、しかし可愛いだろ、こんなのは余興だけど家にゃ素晴らしいのがいるぜ、犬の王者のセントバーナードの仔もいる、こいつは少し、混っているかも知れんが」