Japanische Klassiker mit Furigana
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme
「なあんだ」
村田は、一寸鬱憤をはらして
「今、何処にいるんだい……、矢ッ張り前の大森……」
「いや越したよ、茅ヶ崎にいる、大森あたりはじゃんじゃん工場が建っちまってね、犬の奴が神経衰弱になるんだ」
「おやおや、お犬様――だな」
「空気もいいしね……」
喜村は、一寸弁解らしくいって
「それに、こう冬になってまで眠り病が流行ってちゃ都会はあぶないよ」
「まったく……」
「そうだ、丁度今日は土曜日だね、これから一緒に遊びに来ないか、あした一日ゆっくりいい空気を吸って、陽に当って行くといい」
「犬の蚤がたかりやしないか」
「冗談いうな、まさか犬小屋には泊めない」
「あたりまえさ」
村田も、冗談をいいながらも、久しぶりに気兼ねのない旧友に逢ったのだし、丁度予定のないあした一日を、海岸でゆっくり話すのもわるくはない、と思った。
「じゃ、行くかな……」
「うん、そうしろよ。――君、奥のを呼んで来てくれ」
ハルミは、まだポケットテリヤを抱いたまま立って行った。
「おや? 連れがあったのかい――」
「妹さ」
「妹? 妹を連れてバーなんぞをうろうろしてんのかい」
「というわけでもないがね、ちょいちょい出て来るのは大変だし、昼間はデパート巡りをつきあったから、こんどはちょいと此処をつきあわしたのさ」