Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lesen Sie 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.120 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

駅をおりて、海岸の方にしばらく行った所に、十分の敷地をとって、喜村の家があった。思ったより大仕掛に犬を飼っているらしく、冷たい月の光りのなかに、幾棟かのトタン葺きの犬小屋の屋根が、白々と浮んで見えた。

時折、月に遠吠えする犬の声の間に混って、久しぶりに聞く浪の音も聞えていた。

「なかなかいいとこだね」

「まあ、健康的だろ」

「犬も相当いるようじゃないか、世話が大変だろう……」

「三十匹ぐらいだよ。それにいまシェパードなんかの軍用犬の訓練も引受けてるしね、助手は三人だが、まあ好きでなきゃ出来ないさ、はっははは」

「先きまわりしていっちゃったな、――まったく好きでなくちゃ出来ない」

丁度その時、スエーターに半ズボンの若い男が入って来た。喜村の助手である。

喜村が聞くと、助手はけげんそうに

「はあ、あの、お正午すぎに、どうしたのかゲンが急に吠出しまして……それにつれてほかのまで皆んな吠出してよわりましたが……」

「ゲンか――、あいつは一寸神経質だからね……、それだけかい」

「はい」

「ありがと。――村田君、こんやは遅いからあしたゆっくり案内してやるよ」

「うん、その方がいいや、僕も一寸つかれてる」