Japanische Klassiker mit Furigana
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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
Lesen Sie 火星兵団 (かせいへいだん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 307.889 Zeichen · 618 Bildschirme
――大江山課長は、佐々がどんな返事をするかと、目をすえて待っている。
佐々は、課長が、家出か殺されたのかと急な問いをかけたので、鳩が豆鉄砲をくらったように、目をまるくして、しばらくは口がきけなかったが、やがて、ごくりと唾をのんだ。
「ええええ、そ、それは……」
佐々は、あわてると、つかえる癖があった。
「そ、それは――つまり、蟻田博士は、いつの間にか、天文室からいなくなったのです。机の上も、望遠鏡の位置も、博士がその部屋にいるときと、全く同じ有様です。天窓も、あけ放しです。ですから天体望遠鏡にも、机の上においた論文や本のうえにも、露がしっとりおりて、べとべとです」
「ふうむ、なるほど」
「だから、博士は、ちょっと便所にでもいくような工合に、行方不明になったんです」
蟻田老博士の行方不明!
「火星兵団」の謎を解く力のあるのは、自分だけだと、いばっていたその老博士が、とつぜんいなくなったのだ。
佐々刑事が、大江山課長に、今報告したところによると、博士の邸内にある天文室の様子は、ふだんとすこしも変らず、天窓はあけ放しになっていて、机の上にも、望遠鏡にも、露がおりているというのだ。