Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てりはきょうげん

照葉狂言

泉 鏡花

Lesen Sie 照葉狂言 (てりはきょうげん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.730 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

峰の堂

一

「また心配をさしちゃあ悪いね。」

「だからさ。」

「あい、じゃあ、お前さんもおやすみだと可い。」

褄引合せて立上れり。

「しのぶや、……む、もう寝たそうな。」

戸口にて見返りながら、

「貢さん、床は私が取ってあげよう。」

「なに、構わないよ。あとで敷かせるから。」

打うなずきさま微笑みたり。

「邪魔だったら、あっちへおいで、稲ちゃんと一所に寝ましょう。」

「のちほど。」

「それじゃあ……」

とて立出でたる、後姿隣の室の暗きなかに隠れしが、裾花やかに足白く、するすると取って返して、

「貢さん!」

顔をあげてぞ見たる、何をか思える、小親の、憂慮わしげなる面色なりしよ。

「また、鼠とでも話すのかね。」

「考えてるの。」

「そんなこと云わないで、鼠とたんとお楽しみ。ほほほ、私は夢でも見ましょうや。」

と横顔見せて身をななめに、此方を見てなお立ちたりしが、ふと心着き耳傾け、

「あら! 狐が鳴いてるよ。」

と、あだなる声にていいすてつつ、すらすらと歩み去りぬ。

峰の堂

一

あれという声、呀と姉上の叫びたまいしと、わが覚ゆる声の、猫をば見たまいて驚きたまいしならば可し。さなくて残忍なる養子のために憂目見たまいしならばいかにせむ。