Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.387 Zeichen · 453 Bildschirme
六月二十五日
達ちゃんは無事です又便りあり。
六月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 山口県島田より(封書)〕
六月二十一日 第三十一信 光井
午後四時。やっときょうは晴天です。裏からとって来た矢車草の碧い花が机の上のコップにさしてある。この辺の花の色は実に鮮やかで、野生の月見草、小町草、その他本当に自然の濃いはっきりした日光の美しさを思わせる色をしている。この辺の家や墓地にはいろんな花がつくられている。島田には花を作っているような家は殆どない。
机の上にすこしばかり樹の青っぽい蔭がさしていて、一寸何だか夏休みの或日のようです。そして、すこし、郷愁にかかっている。原っぱのところにずっと見える塀や、工場のような建物や、そこにある一つの顔に郷愁を感じて居ます。私は七月十三日頃にかえります。近頃三十八日以上四十日も留守をしたことはありません。随分珍しい。
きょうは野原の海岸へ初めて出ました。ここは虹ヶ浜とちがって、松林が二重になっているのね。そして手前の古い松林のところはいかにもねころぶに心持よそうです。浜へ出て、舟へこしかけて、叔母さまと二人黒い洋傘をさして沖を眺めていました。