Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.387 Zeichen · 453 Bildschirme
書きはじめて、これはユリのこの十年の成果として文学史的価値を与えようと決心している長篇小説は、複雑な内容をもっていて、一口には云えませんが、ある一家族の歴史的推移を扱う場面の最も骨格をなすテーマは、父親である男がその人間的美質や技能にかかわらず、自分の属す社会の故に、極めて卑俗な生活面を持ったことを発見して、次代の者である娘が、父への愛、悲しさ、残念さの故に一層より合理的なものへの献身に進んでゆくことが、一つの歴史の性格として把えられています、そのほかいくつかの愛と呼ばれていて愛でない人間関係の究明とともに。
丁度二月の初めのひどい雪の日、霏々と降る雪を小さく高い窓に眺めながら、激しい疲労ですこし気が遠くなったようになって横になりながら云いつくされぬ感慨で、そのことを考えた。
ユリ子がああいう心持でああいう生活をしているのに(貴方との面です)、俺には云えないと云って詩を私にのこして亡くなった。私たちの生活そのものが、偽善的な意味でなしに、その人の人間らしい面にふれて、その良心の護りとなったということ、そういう地位や年齢に厚かましくなり切れなかった心を、私は二様の点から忘られないわけです。