Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.387 Zeichen · 453 Bildschirme
かえっても、その表情と身ぶりとが私につきます。いそがしい交通機関の波の間に、いろんな用向や人との応対や笑いの間にさえ、その身ぶりは私の心をひっぱりつづける。
視線が合えば、互の切りくちがすっかり合ったよろこび。そのよろこびでどんな苦しさも凌げて来ました。その確信には無限の力がある。そしてそれも感覚として来るものだから、きょうのように電話が切れた感じは、やはり感覚として全面の訴えをもつのです。小さい言葉の端々、電話の切れるすぐ前にきこえた言葉の一つ一つにこだわることは、貴方にもすまないことであるから(そこで止る意志ではなかったのだから)私も、それに執さない修業を致します。大局から、我々の把んでいるところから見とおして私の最善の善意と努力で噛みこなして滋養にしましょう。けれども、これからずっと、可能な時間と私共の話しかたとの関係は同じような条件でつづくわけですから、何か話しかたの一工夫をしてはどうでしょう。そのことで私のこういう苦しい輾転反側が解決される部分もあるのではないでしょうか。こういう状態が続くと私は、自分が病気になるだろうと思う。そんな苦しさですもの。