Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.387 Zeichen · 453 Bildschirme
九月十八日朝
きのう、きょう、朝出かけは裏の上り屋敷から池袋まで出ることにして見ました。省線駅の段々がなくて、これは大変に楽です。駅の段々が意識に上ったのは初めてでした。昔、詩人の細君(自注12)が、弱くてよくそのことを云っていて、信濃町を辛がっていたが、きのう上り下りをして見て、本当にそれがわかりました。体力というようなものはどこを標準にしてよいか分らないようなもののようだが、実に微妙にちがうものですね。びっくりする。
びっくりすると云えば、朝起きは、何と昼間がゆっくり永いでしょう! 私は昼間が決してきらいでない。読むにも書くにも。静かな昼間、(お客が来る心配の絶対にないというときの)落付き心地には、飽きない愉しさがあり、充実がありうれしい。そういう静かな光の満ちたような昼間がこれから続いたら、きっと新しい力で勉強が励まれるでしょう。
目白の駅を下りたら十時すこし過で、あの野っぱらの真中できいた空襲警報のつづき。飛行機が編成で上空に来て、戸山ヶ原の方へ去ると、こっちでは、二千米ぐらいのところで、一機が一機を追うように「盛にやっている」(これは角の果物やの若い衆の表現。