Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.044 Zeichen · 575 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、私はあなたに対して腹を立てている自分、あなたを恨んでいる自分をさがし出そうとして心の底をいくらさぐってもどこにもそういうものが無いので、大変不思議でした。ずーっと心の水底へ鏡をしずかに投げてやると、その小さい鏡は沈んでゆきつつ悲しさを映してはいるけれど、憎悪のかげはどこにも映すことが出来なくて、底に落付いたときには、その鏡の面一杯になつかしさが照っている、大変面白い気持でした。私たちもこうして暮して、九年の月日が閲されたことを痛切に感じました。そんないろんなことから思いかえせば、あの夕立、やっぱりなかなか可愛いと思います。

それにつけても、飽きない心のたたずまい、あの眺め、この風景という工合に過されないのは千載のうらみですね。

九日のお手紙、眼の本のこと、どうもこまかにありがとう。眼と神経衰弱についての本をよんで見ましょう。これで左がちゃんとすればきっといいのだろうと思いますが。眼からの疲労と云っても私は実によく眠るのよ、そして食べるのですけれど。只よんだり書いたり歩いたりが苦しいのね。しかし、もう頭が大分楽になって、少くともものを考えることが出来るようになって来ましたから(仕事について)追々ましになりましょう。