Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.044 Zeichen · 575 Bildschirme
二月九日
現在につくられつつある歴史という感じまで来て。緑郎は、もう送金が出来ないからかえるしかないでしょう。達ちゃんたちのことを、紀さんがかえったのでしきりに思います。干魚が大変便利でうまいそうですから送ってやります。ではこれで。益※(二の字点、1-2-22)お大切に。
二月九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
二月九日 第十三信
うちの時計が十三分ばかり進んでいるらしいけれども、午後の四時すこしすぎ。
きょうは西の方に真白い富士がよく見えました。とけのこった雪が家々の北側の屋根瓦や軒に僅ずつのこっていて、そこをわたって来る風はつめたいけれども日光は暖い、いかにも早春のような日和です。二月を如月というのは面白いことね。夕刻風にふきはらわれて暗くなりながら青くエナメルのように寂しく透明になる空の色を見て、なにか如月という感じがわかるようです。すこし今つかれて。話ししたくなって。
まあ、この炭何と匂うのでしょう、匂うというときれいだが、ガスを出すのでしょう、胸苦しい。ガラス戸をあけ放しにして。
さて、御機嫌はいかがでしょう。ずっと平調でしょうか。七日にかいた手紙で、いろいろ健康に危険な空気のことおわかりになったかしら。