Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme
それは手紙の調子でお感じになれるでしょう? 何も経験ねえ。子供のひきつけで、はじめ動顛した母さんだって二度目には少しは呼吸がわかります。先は、いいえ大丈夫です、落付いています、そう云いながら洗面器の水で手拭をしぼろうとして洗面器のそとへ我知らず手をやっていたようなところを思いだします。やかましく云って下すって、金ダライのありかがわかって、というようでもあったわねえ。あれこれ考えると、やっぱり面白いものと思い、苦しいところの面白さも感じて来て、何かのスポーツのような興味もあります、今度は今度の条件でうまくやろう、と。
私はちっともスポーツの鍛練はないけれど、こういう気分を考えてみると私もなかなかスポーツの精神は諒解して居りますね。相当の登山家ともなれる素質が些かあるようでもあります。チンダルの「アルプス紀行」はそのことを思いおこさせます。氷河のわれ目だの雪崩の観察だの、自分の肉体の力の測定だの、美しい人間の精神の敏活さを感じます。それが、自然を剋服してゆくものとして明瞭です。私も段々にこうして贅肉のそがれた精神の力を身につけて行くのでしょう。さらりとして、自在で、自在であり得るということそれ自体がどんなに中心が確立しているかということを語っているという風だったら見事ねえ。