Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme
きのうもね、国男すこしほろよいなの。寿江子一緒にかえりたがらないで一人で市電にのってかえしてしまって、私たちは省線迄歩いて。そんなとき私は国男が可哀そうでいやあな気になるのです。ともかく自分の誕生日によんで、一人でかえるなんて。私はいつ迄も気にして、いやがるのよ、寿江子は。兄と弟とはこんなにちがうものと見えるのね、寿江子の方は、何だか妙にねっとりして来る兄貴なんかと一緒にかえりたくないのね、それもわかりますけれど。でも何だか薄情らしくていやに思える。さりとて私がぐるりとまわってかえるのも余り時間がかかるし。始終一緒に暮していると、あっさり先へかえしたり出来るのかもしれないわね。私たちはあなたも私も一番上で、弟たち妹たちしかしらなくて、その心持は年をとってもかわらず、却って年をとると又別のあわれさが出来たりするところ面白いものですね。親が、子をいつ迄も子供と思うの尤もね。あわれに思う心というものの面白さ。
ゴッホがこの頃妙な流行で読まれます、「焔と色」という小説を式場が訳して。弟のテオというのがいてね、これは画商の店員をしているのが終生実に兄のためによくしてやっています。