Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme
としよりのいる家なんか全く大したものです。何のためにそういうものがとってあるかと思うようなものまで、やはり引越しについて来るのですものね。
月曜日はおあいさんは目白に働いて、私はこちらに一人で、いろいろ古い雑誌の整理なんかをポツリポツリとやり、きのうの火曜日はあれからかえりに目白へまわって近所へみんな挨拶をして、おばあさんを新しく紹介しておそばを配って、そしてあっちで白飯たべて、九時ごろ野菜の袋を下げて、ホーレン草の種だの肥料の袋だの、ヘミングウェイの前の作品だのを入れた包みをもって林町へかえりました。大変妙だったわ、目白からかえるなんて。足かけ五年の古戦場ですもの、無理もないと思います。そして今度は派出婦のおあいさんやあの手つだいの若い娘さんやらだけが相手で、あすこへ引越すとき手つだってくれた人々は誰一人い合わせないのも感じ深うございました。さっぱりしたものよ。却って気が楽なようで、いろいろの感情を経験しました。軸がキリキリと回るとき、何と遠心力がつよいでしょうね。一人一人の顔を思い浮べると、みんな遠い遠いところに目下暮していたり、そうではなくても生活の上で大きく変化していたりして。