Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme
そして、ぽつぽつは自分もつくるのだけれど、おばあさんのは万葉調なのよ。古今は本流でないというのですって。おじいさんは古今で「ふやけたチューブみたいに」だらだらぬるぬると多作するのだけれど、おばあさんの方は「なかなか出ない方でね」ですって。茅ヶ崎と根岸とで歌のやりとりをして、この頃はいくらかずつおじいさんに万葉風をしこんでいるのですって。左千夫がおばあさんのお気に入りだって。いい歌があると、丹念にしおりして春江のところへよこして、あとで、どうだったい? ときくのですって。おばあさんは「おかずの心配さえしなければ私は生きていられますよ」と云って、おじいさんをおどかすので、おじいさんも茅ヶ崎へかえれとは云わないのですって。
面白いでしょう? 八十と七十のこのじいさんばあさんの物語は。そして私たちは七十のおばあさんの生活というものに、やはり女の働き盛りの生活というものが、その間にはなかなか歌一つでさえ満足にはやらせるひまがなかったのだということを考えさせられました。七十まで生き、すこし病人になって、そしてそうやって却って楽しい生活が夫婦にあるなんて、面白いけれど、でもねえ。