Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme
二月十五日
かぜお大切に、呉々もね。
二月十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
二月十五日 第十信
今は静かな午後二時。二階にいっぱい日がさしていて、手すりに布団が干してあります。物干に小さいカンバスの椅子を出しかけて、そこに私の上っぱりを着た寿江子が桃色の紐を上からしめて、おとなしく日向ぼっこをしながら本をよんで居ります。私は室の内で、スダレをおろしカーテンで光線を柔らげ、足元を暖かくこの手紙をかいているという、そういう光景。
そして、広さのせまさということについて一寸面白く感じたところ。林町の庭は、ここの物干しよりそのひろさは何倍かです。でも人間の視線が直線であるというのは面白いことねえ、平地でしょう? いくらひろくたって。だから立木だの建物だのにさえぎられて、この目白の物干しへ出て眺めるようなひろびろとした空間、視野の遠近がなくて、つまらないのですって。そう云えば全くそうです。そして、ここにはそういう只の空間のひろさばかりでなく、人間の生活の光景がその風景にあってつまり生きている。(野沢富美子のところでは、こんどは人間のジャングルになっている)それで休まる、という感じ。