Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
きょうもそれをうっかりと考えていると、翁は日影がだんだん映しこんで来るのにまぶしくなったらしい。だるそうに立ちあがって入口の蒲すだれをおろした。
「千枝まよ。なにを思案している。叔父御や叔母御もお前が戻ったので喜んでいよう。むかし馴染みが帰って来てわしも嬉しい。これからは今までのように遊びに来ておくりゃれ。よいか。あれ、お見やれ。となりの門の柿の実は年ごとに粒が大きくなって、この秋も定めて美事に熟れることであろうよ」
「そうであろうのう」
ここの門に立った時に、千枝太郎もすぐに隣りの梢を仰いだのであった。実がまだ青いので、そこに大きい鴉の影はみえなかったが、彼は藻と一緒になってその梢の憎らしい鴉を逐った秋を思い出さずにはいられなかった。今も翁からそれを言い出されて、彼は蒲すだれの外をのぞきながら低い溜息を洩らした。
「月日のたつのは早いものじゃのう」
「ほんとに早い。婆めが死んでからもう四年目になる」と、翁はすこし寂しそうな顔をして言った。
自分と仲悪の婆の死――それが藻と何かの因縁があるらしく考えられるので、千枝太郎は何げなく翁に訊いた。
「婆どのが死んで四年目になるか。