Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
二
「殿上人のうちでも、風流の名の高いお身さまじゃ。女子をなぶるは常のことと思うてもいらりょうが、もしここに浅はかな一途な女子があって、なぶらるるとは知らいで思いつめたら、お身さまそれをどうなされまする」
「われらは正直者、ひとをなぶった覚えはござらぬ」と、兼輔は眼で笑いながら空うそぶいた。
「いや、無いとは言わせませぬ。お身さま、これを御存じないか」
玉藻は丁寧に畳んだ短冊をふところから探り出して、男の眼の前につきつけた。嬉しいと、さすがに恥ずかしいとが一つになって、兼輔は顔の色をすこし染めた。
「お身さまは御卑怯と言うたが無理か。この歌の返しを申し上げようとて人目を忍んでまいったものを、お身さまはむごく突き放して逃ぎょうとか」
妖艶な瞳のひかりに射られて、兼輔は肉も骨も一度にとろけるように感じた。玉藻は笑いながらその短冊を再び自分のふところに収めると、若い公家の魂もそれと一緒に、女のふところへ吸い込まれてしまった。
二
「お身さまの叔父御は法性寺の隆秀阿闍梨でおわすそうな。世にも誉れの高い碩学の聖、わたくしも一度お目見得して、眼のあたりに教化を受けたい。お身さま御案内してくださらぬか」