Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいかつといちまいのしゅうきょう

生活と一枚の宗教

倉田 百三

Lesen Sie 生活と一枚の宗教 (せいかつといちまいのしゅうきょう) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.276 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

これは松倉米吉というある鍛冶屋の息子がありまして、肺病で難儀をした。一人の恋人がおって、それがなかなか貧乏でありまして、会うということは容易ではない。旅費をつくることも容易ではない。松倉君が肺病で非常に弱っている。命も長くないようになった。

いかにせん共に死なめといひて寄る

妹にかそかに白粉にほふ

そういうような境遇で、自分は今別れたらまた会うことができない境遇のときに、もちろん恋人もやっとのことで旅費をつくってきたというのであります。これは一つの実相であります。まあしかたがないから死のうじゃあないかという、死んでくださいというふうにしてやってくるわけであります。非常に貧乏で着物も粗末で、飾りなんかすることはできないが、やはり白粉はつけている。そのときに松倉君は性欲なんということは考えられないほど弱っている。けれどもやはり白粉をつけてくる。そのときにどういうように松倉君が感ずるかというと、説明することはできませぬけれども、これは人間の心の実相で、善いとか、悪いとか、何とかいうようなことをいってはおられない。動きのとれないものであります。ですからこの歌を読みますと、それを責めるとか責めないとかいうことでなく可哀そうであります。