Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのこうりしょうどう
私の小売商道
相馬 愛蔵
Lesen Sie 私の小売商道 (わたしのこうりしょうどう) von 相馬 愛蔵 (そうまあいぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.396 Zeichen · 312 Bildschirme
これは東京人と田舎人との趣味嗜好の相違するゆえんである。ゆえにもし地方人の歓迎を受けんとするものは、品質粗悪でも価さえ廉であるならば、のんきな田舎人はわらじがけで買いに来る。しかし東京においては全くこれと正反対であって、価安きもの必ずしも売行きのよいものではない。むしろあまり廉に過ぎれば、却って得意に不安の心を抱かしめ、その品物につき多少の疑いをはさませる場合がある。それゆえ東京人の喝采を博するには、ぜひ品質の精良なるを選び、原料をも精選せねばならぬ。しかも彼らの嗜好に適しさえすれば、価高きには驚かない。借金を質に置いても買わずにはいない。見よ有名なる商店はいずれもこの方針によらないものはないのに心づくであろう。我ら開店せんとした時に、郷里の一名物を持って来て、大いにこれを広告的に廉価に売り捌こうと思った。それで自ら産地に赴き、またその製造所なども実見して製造家と特約を結び、意気揚々満腔の希望を抱き、天晴れ実業家に成りすましたつもりで東京に出て来た。しかし噫呼これも書生上りの空想に過ぎなかったのである。我得意たらんとする人は東京人であったことを忘れて居ったのである。